La Crêpe à La Chandeleur 聖燭祭( 毎年2月2日 )にはクレープを

 

ガレットが出終わったと思ったら、今度はクレープ。

毎年この時期、フランスのどの町でも目にするお馴染みの光景( クレープ、クレープ用の食・器材の販売 )がスーパーなどの店頭に広がっています。

そう、ここフランスではこのキリスト教の聖燭祭( La Chandeleur )である2月2日にクレープを食べるというのが古くからの習わしとなっているのです。

La Chandeleur ラ・シャンドラー。

 

証明はされていないものの、ラテン語の「Festa candelarum 」つまり「キャンドル(蝋燭)の饗宴」がその名前の由来となっていると言われていますが、カトリック教の一つの祭り( 休日 )とされている事は確か。

 


この伝統はもちろん教会でより強く受け継がれており、そこではカトリック教司祭が祈願しに来た信者の蝋燭に祝福を与え、敬虔な信者はその蝋燭を家に持ち帰り、2月2日にそれらを窓辺に並べるという行為がとられているようです。

キリスト教徒によると、蝋燭の輝きはキリストにより惜しみなく与えられた光を思い起こさせ、信仰の継続と聖母マリアの純潔さのシンボルだともされています。

 

 

古代ローマ時には、2月は元来1年の最後の月で春の到来前の「清めの月」を意味していました。

その為ローマ人達は2月2日に松明を振りながら大行列を組み、豊穣と牧羊の神ルペルクスにちなんだルペルカリア祭を祝っていたそう。

 

その後、472年にローマ教皇ゲラシウス1世がこの2月2日の異教のろうそく祭りをイエスの生誕(12月25日)から40日後のこの日に聖母マリアが教会にて出産の穢れを祓い、身を清めたこと、そしてイエスが神の子として初めて教会に現れたことを祝す「イエスの神殿奉献の記念祭」に改めることを決めました。

そして教会ではキリストが世界の光であることを想起させる祝別されたろうそくが、松明に取って代わるようになったのだそう。(また、教会では蝋燭のともし火は「悪」を遠ざけるものとして扱われてもいます)=「聖燭祭」。

 

ちなみに、当時のユダヤの法律で「男子を出産した女性は7日間不浄なものとみなされ、その血が浄化されるまでさらに33日間待つ必要があり、もちろんその間、聖なる場所へ姿を現すことは固く禁じられていた」事から「40日後」という数字が出てきたらしいです。
( 女子を産んだ場合、その日数は何故か倍になり、14日間汚らわしいものとして扱われ、その血の浄化に66日間も要したそうですが。)

ところで、どうしてこの日にクレープを食べる様になったのか。

 

その昔、2月の初めごろになるとローマ法王が貧しい者の為にクレープを分け与えていたから、、、というのはどうやら作り話のようですが。

この時期は1年で冬の種まき作業がちょうど始まる頃。

来るべき年の繁栄を願って前年の小麦粉でクレープを作るのが習慣であったのと同時に、また丸くて黄金色をしたクレープは太陽を想像させ、長い冬の後の春の到来(豊穣祭)を意味するのと、やはり「人類の光」であるイエスに、光(太陽)と同じ形・色をしたクレープを捧げたことによるらしいです。

 

「もしこの聖燭祭の日にクレープを作らなければその年の麦は腐ったものになるであろう」とも言われていたとか。

クレープを作る際にぜひやってみてもらいたいのは以下の事。

 

左手に硬貨( 昔は Louis d'or と言う金貨であったみたいですが )を握りながら右手一つで最初のクレープを引っくり返す。

 

形が崩れることなく上手に、また床に落とすこともなく生地を引っくり返せた者はその一年幸せになれると言われています。

 

私ももちろんやってみました。クレープはきれいに裏返ってくれましたが、さてどういう一年になってくれることか。

 

その昔は、床に落とさず上手に焼けたそのクレープの中に左手で握りしめていた金の硬貨をくるみ、家族皆で行列を組みながら寝室の棚の一番上に置きに行き、翌年までそのままにしておく。

そして翌年、前年のクレープの中に入っていた硬貨を取り出し、その後最初にやって来た貧しい者に与えると、その家族は一年中お金に困る事がないと言われていたそうです。

 

この Chandeleur「聖燭節の饗宴」、天気に関わることわざにも使われているようです。

 

À la Chandeleur, l'hiver se passe ou prend vigueur.
聖燭祭には、冬は峠を超すか厳しさを増す
(毎年この頃には冬の厳しい寒さがやわらぐか、一段と寒くなるかのどちらかだ)

 

天気の良い暖かな日となった今年。今後はこの日の様に冬の厳しさが和らぐという事なのでしょうか( この半月ほどは3月の様な陽気が既に続いていますが )?

 

ちなみにケベックではこの日の積雪量がその年最大の積雪量になると言われているらしく。
フランスでもこれがあてはまるのであるとすると困ってしまいますね。
ここ最近の暖かな気候ですっかり雪が溶けてきてしまっている上、この先も見込みがないとなると冬のリゾート地としては痛いところ。

まあ、年配の方が折につけ口にする「昔からの言い伝え」と言うのは、経験上疑っても良い物だと思っていますけれども。

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